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沖縄県公文書館 所蔵
OKINAWA ARCHITECTURE 忘備録
旧那覇市民館
Former Naha Civic Hall(1970-2025)
1970年、那覇市寄宮に完成した那覇市民会館は、沖縄の伝統建築を現代建築へと大胆に読み替えた、戦後沖縄を代表する名建築だ。設計を手がけたのは、金城俊光+金城信吉。沖縄が本土復帰を迎える直前の時代に、「沖縄の建築とは何か」という問いに真正面から向き合った作品でもある。
建築を印象づけていたのは、建物をぐるりと包み込む深い庇だ。沖縄の伝統民家に見られる「雨端(アマハジ)」を現代的に再構成し、強い日差しを遮りながら、光と影の豊かな表 情を生み出した。また、エントランスには沖縄の伝統的な目隠し壁「ヒンプン」を思わせる石垣を設け、地域固有の空間装置をコンクリート建築の中に取り込んでいる。
単なる伝統様式の引用ではない。亜熱帯の厳しい気候を受け止める環境的な知恵と、モダニズム建築の構成を融合させることで、これまでにない沖縄の現代建築を生み出した。その思想は後の金城信吉の作品にもつながり、沖縄建築に大きな影響を与えていくことになる。
1972年の沖縄本土復帰をはじめ、コンサートや演劇、数多くの市民活動の舞台となった「文化の殿堂」。2006年にはDOCOMOMO Japanにも選定されたが、老朽化と耐震性能の問題から2016年に休館。2024年11月には建物への感謝と惜別を込めた「棟下式」が行われ、その後解体された。
建物は失われた。しかし、沖縄の風土と伝統を現代建築へどう生かすのかという問いは、いまも色褪せていない。旧那覇市民会館は、沖縄建築が独自の表現を模索した時代を伝える、重要な「記憶の建築」だった。
設計/金城俊光+金城信吉
施工/前田組
竣工/1970年
用途/多目的文化施設
構造/鉄筋コンクリート造 地下1階、地上3階
所在地/沖縄県那覇市寄宮1-2-1
現状/解体済み
※DOCOMOMO Japan選定建築(2006年)

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