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亜熱帯のいえ
場所を読み解くことで 生まれた、 亜熱帯の住まい
海を見渡す高台に建つ“亜熱帯のいえ”は、 沖縄という 環境そのものを 建築化した 住宅であ る。
強い日射、湿気、台風、 そして 眺望。敷地 を取り 巻く 条件に対して、この 家は単純な開放 性ではなく、 繊細な距離感によって 応答している。 建物を包む外殻は RC 造とし、 屋根と 内部空間には木造を採用。堅牢 さと 軽やかさを 併せ持つ混構造によって、 亜熱帯の厳しい 環境と 快適な居住性を両立させた。
印象的なのは、 内と 外の境界の扱いだ。
開口部は必要以上に大きく 設けられていない。むしろ 風景を切り 取るように 配置され、そ の周囲には半屋外とも 室内とも 言えない 中間領域が広がる。 風はその余白を通り 抜け、 光 は壁や床に陰影を落 としながら 室内へ届く。 海を眺めるというより、 海の気配の中で暮ら すための空間構成である。
この 住宅は 2024 年度建築九州賞・作品賞 を受賞した。
評価されたのは 造形の新しさだけではない。 沖縄の気候や風土に真摯に向き合い、その 土 地だからこそ 成立する住まいのあり 方を導き出した 点にある。
興味深いのは、 地域性を徹底的に追求した 建築が、 結果として 地域を 超えて評価されたこ とである。
場所に根差した 建築は、ともすると 特殊解になりがちだ。しかし “亜熱帯のいえ”は、 環境 に応答する建築の本質を丁寧に積み重ねることで、 多くの 人が共有できる 普遍性へと到達 した。
最終審査の日、選考委員 たちは 審査を終えた後もしばらくその 場を離れなかったという。
椅子に腰掛け、 海を眺め、 風を感じながら 静かに過ごす時間。
建築を評価する立場から、 一人の居住者へと視点が移る瞬間だったのかもしれない。
図面では表現できない 風の流れや温度感、内外 が溶け合う 空間の居心地。 それらを 身体で 受け止めたとき、この 家が目指したものが 自然と 伝わったのである。
“亜熱帯のいえ”は、 沖縄らしさを 形にした 住宅ではない。
沖縄という 場所を深く 読み解いた結果として 生まれた住居空間である。そしてその 姿は、 風土に寄り 添う 住まいの豊かさを 静かに語りかけている。
[ DATA]
作品名 亜熱帯のいえ
敷地面積 463.00 ㎡( 140.05 坪)
延床面積 198.57 ㎡( 60.06 坪)
構造規模 混構造( RC+木造) 地上1階
建物用途 住宅
仲本昌司( なかもと まさし)
一級建築士事務所 株式会社 ADeR
https://aderarchitects.com/
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